広告代理店の人と話をする時に、よく「広告代理店という呼び方自体を変えたらどうですか」という話をしていた。また、代理店の営業もしかりで、営業で募集するから営業をやりたい人が応募してくる。広告とか販促は急速に単なる物売りの手伝いではなく人と人の間を有機的に結びつける仕事になっている。そこにはモノが売れるという以上に、「面白い」、「楽しい」、「もっと知りたい」、「共感する」、「応援したい」という人間の根源的な欲求を引き出せるかどうかが、仕事の成果として明確に現れる様になっている。高度成長期の「売れれば何でもあり」という価値観はもう終わっている。もっと足が地に着いた「人にとって、本当に大切なもの」という視点から、本音で交流し合えるコミュニケーションをデザインすることが、広告やマーケティングに携わる者に必要な時代だと思う。それは、まっとうな成熟した社会のステージに私たちが向かっていることの証かも知れない。
企画の発想の軸を変えるのに役立つ本。